店舗開業を考えるとき、多くの人がワクワクするのが「物件探し」です。
しかし、店舗物件は、
「立地が良い」
「家賃が安い」
「内装がきれい」
という理由だけで決めると、契約後に思わぬ問題が出てくることがあります。
たとえば、
- 希望する営業ができない
- 電気容量が足りない
- 給排水工事に多額の費用がかかる
- 駐車場が足りない
- 看板を自由に設置できない
- 営業時間に制限がある
- 許認可の基準を満たせない
といったケースです。
店舗物件は「借りられる物件」ではなく、自分のお店を問題なく営業できる物件かどうかという視点で選ぶ必要があります。
この記事では、名古屋で店舗開業を考えている方に向けて、物件探しの流れと、契約前に確認したいポイントを初心者向けにわかりやすく解説します。
開業準備全体の流れから確認したい方は、「店舗開業の流れを完全解説|準備からオープンまでの7ステップ」もあわせてご覧ください。
店舗物件は「立地・家賃・設備・許認可」をセットで考える
店舗物件を選ぶときに重要なのは、立地だけではありません。
大きく分けると、次の5つを確認します。
- 商圏・立地
- 家賃・契約条件
- 店舗設備
- 営業上の制限
- 許認可との相性
この5つを総合的に判断することが重要です。
たとえば、家賃が安くても大規模な設備工事が必要なら、開業費用全体では高くなることがあります。
逆に、家賃が少し高くても、既存設備をそのまま使えて工事費を抑えられるなら、総額では有利になることもあります。
STEP1|物件探しの前に希望条件を決める
いきなり不動産会社へ行くのではなく、まずは希望条件を整理しましょう。
最低限決めたいのは、
- 希望エリア
- 家賃上限
- 必要な店舗面積
- 駐車場の必要台数
- 駅からの距離
- 営業時間
- 1階・2階などの階数
- 居抜き・スケルトン
- 必要設備
- オープン希望時期
などです。
ポイント
すべての条件を満たす物件を探そうとすると、なかなか決まりません。
そこで、
絶対に譲れない条件
と
できれば欲しい条件
に分けるのがおすすめです。
たとえば、
絶対条件
- 家賃20万円以内
- 飲食店営業可能
- 駐車場3台以上
希望条件
- 1階
- 駅から徒歩10分以内
- 居抜き
というように整理します。
STEP2|ターゲットに合ったエリアを選ぶ
人通りが多い場所が、必ずしも自分のお店に向いているとは限りません。
重要なのは、
「自分のお客様になりそうな人がいる場所か」
です。
駅前型
会社員、学生、通勤客などを狙いやすい立地です。
一方で、家賃が高くなりやすく、競合店舗も多くなる傾向があります。
住宅街型
近隣住民によるリピート利用を狙いやすい立地です。
カフェ、美容室、サロン、クリニックなどでは候補になりやすいでしょう。
ロードサイド型
車での来店が中心になります。
この場合は、
- 駐車場
- 道路からの見え方
- 出入りしやすさ
- 看板
などが重要です。
名古屋では「車での来店」も考える
名駅・栄・金山などの駅周辺と、住宅地や郊外では、来店方法が大きく異なります。
駅から離れたエリアでは、駐車場の有無が来店しやすさに直結することもあります。
STEP3|家賃だけでなく「毎月の固定費」を確認する
家賃が安いからといって、必ずしも良い物件とは限りません。
店舗によっては、
- 共益費
- 管理費
- 駐車場代
- 看板使用料
- セキュリティ費用
- ゴミ処理費
などが別途必要になる場合があります。
そのため、
家賃+その他の固定費
で考えましょう。
また、契約時には、
- 保証金
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 保証会社費用
- 保険料
なども発生する可能性があります。
店舗開業費用全体については、「店舗開業に必要な費用はいくら?初期費用と運転資金の内訳を解説」も参考にしてください。
STEP4|設備を細かく確認する
店舗見学では、内装の見た目だけでなく設備を確認します。
特に重要なのは、
- 電気容量
- ガス
- 給水
- 排水
- 換気
- 空調
- トイレ
- 厨房スペース
- 排気設備
- ゴミ置き場
- 搬入口
などです。
必要な設備は業種によって異なります。
飲食店であれば、厨房、給排水、換気設備などが重要です。
美容室なら、シャンプー台などに必要な給排水設備も確認します。
注意
「前も飲食店だったから問題ないだろう」
とは限りません。
以前の店と自分の営業内容が違えば、設備追加や改修工事が必要になる可能性があります。
STEP5|居抜き物件とスケルトン物件を比較する
店舗物件を探していると、
居抜き
スケルトン
という言葉をよく目にします。
居抜き物件とは
以前の店舗の内装や設備が残っている物件です。
メリットは、
- 初期費用を抑えられる可能性がある
- 工事期間を短縮できる
- 厨房設備などを使える場合がある
ことです。
一方で、
- 設備が古い
- 修理が必要
- レイアウトが合わない
- 不要設備の撤去費がかかる
- 設備の所有関係を確認する必要がある
といった注意点があります。
スケルトン物件とは
内装設備がほとんどない状態の物件です。
自由に店舗設計しやすい一方で、
- 内装工事費が高くなりやすい
- 設備を一から用意する必要がある
- オープンまで時間がかかる
という特徴があります。
ポイント
「居抜きだから安い」とは限りません。
重要なのは、
実際に営業できる状態にするまで、いくらかかるか
です。
STEP6|看板・営業時間・営業内容の制限を確認する
店舗物件では、建物や契約のルールによって営業に制限が設けられていることがあります。
たとえば、
- 深夜営業不可
- 重飲食不可
- 火気使用不可
- 大きな看板設置不可
- 音楽・騒音に制限
- 臭いの強い営業不可
などです。
契約後に、
「予定していた営業ができない」
となると大きな問題です。
契約前に、営業内容を不動産会社や貸主へ説明して確認しましょう。
STEP7|許認可が取れる物件か確認する
業種によっては、営業するために許可や届出が必要です。
たとえば、
- 飲食店
- バー
- 美容室
- ペット関連
- 古物販売
- 深夜営業
などでは、それぞれ確認すべき制度があります。
ここで重要なのは、
物件を契約する前に確認すること
です。
注意
物件契約後に、
「この設備では許可条件を満たさない」
と判明すると、
- 追加工事
- オープン延期
- 営業内容変更
などが必要になる可能性があります。
不安がある場合は、関係する行政機関へ事前相談してから契約する方が安全です。
STEP8|物件は時間帯を変えて見に行く
物件の周辺環境は、時間帯によって大きく変わります。
可能なら、
- 平日昼
- 平日夜
- 休日昼
- 休日夜
など、何度か確認しましょう。
見るポイントは、
- 人通り
- 車通り
- 周辺店舗
- 夜の明るさ
- 騒音
- 駐車状況
- 周辺住民
- 競合店舗
などです。
昼間は静かでも、夜になると交通量が増える場所もあります。
逆に、昼間は人が多くても夜はほとんど人が通らない場所もあります。
STEP9|物件見学では写真と寸法を残す
複数の物件を見ていると、
「あの物件はどんな設備だった?」
と分からなくなってきます。
可能であれば、不動産会社に確認したうえで、
- 外観
- 入口
- 店内
- トイレ
- 厨房
- 電気設備
- エアコン
- 看板位置
などを写真に残しておきましょう。
さらに、
- 店舗幅
- 奥行き
- 天井高
- 入口幅
- 厨房スペース
などの寸法も確認しておくと、物件比較がしやすくなります。
STEP10|契約前に内装費の概算を確認する
気に入った物件が見つかったら、可能であれば契約前に内装業者などへ相談します。
確認したいのは、
- 内装工事
- 電気工事
- 給排水
- 空調
- 換気
- 看板
- 厨房設備
などです。
家賃が安い物件でも、工事費が高ければ、トータルでは割高になることがあります。
ポイント
物件を比較するときは、
家賃だけ
ではなく、
物件取得費+工事費+設備費+毎月の固定費
で考えましょう。
店舗物件選びのチェックリスト
物件候補が見つかったら、以下を確認してみましょう。
- □ ターゲットに合ったエリアか
- □ 家賃は予算内か
- □ 契約時の初期費用を確認した
- □ 必要な広さがある
- □ 駐車場を確認した
- □ 電気容量を確認した
- □ ガスを確認した
- □ 給排水を確認した
- □ 換気設備を確認した
- □ 空調設備を確認した
- □ 看板設置条件を確認した
- □ 営業時間制限を確認した
- □ 必要な許認可を確認した
- □ 内装費の概算を確認した
- □ 契約条件を確認した
- □ 周辺環境を時間帯を変えて確認した
店舗物件選びでありがちな5つの失敗
1|家賃の安さだけで決める
設備工事に多額の費用がかかると、結果的に高くなる場合があります。
2|人通りだけを見る
重要なのは、人の多さではなくターゲットとなる人がいるかです。
3|許認可確認を後回しにする
契約後に設備変更が必要になる可能性があります。
4|周辺環境を一度しか見ない
曜日や時間帯によって、人通りや周辺環境が変わります。
5|契約条件を十分確認しない
退去時の原状回復、解約条件、保証金の扱いなども確認しましょう。
物件探しは開業スケジュールのどこで始める?
物件探しは、コンセプトと資金計画がある程度固まってから始めるのがおすすめです。
一般的な流れとしては、
コンセプト
↓
事業計画・資金計画
↓
物件探し
↓
許認可確認
↓
契約
↓
内装工事
という順番です。
店舗開業全体のスケジュールについては、「店舗開業までのスケジュール|6か月前からオープン当日まで」も参考にしてください。
まとめ|店舗物件は「営業できる状態まで」で判断する
店舗物件を探すときは、
立地が良い
家賃が安い
という条件だけで決めないことが重要です。
確認したいのは、
立地・商圏
+
家賃・契約条件
+
設備
+
工事費
+
許認可
です。
そして最も重要なのは、
その物件で、自分が予定しているお店を実際に営業できるか
という点です。
気になる物件が見つかったとしても、すぐに契約する必要はありません。
設備、契約条件、許認可、内装費などを確認してから判断することで、開業後の失敗を減らしやすくなります。
開業準備全体については「店舗開業の流れを完全解説」、費用については「店舗開業に必要な費用はいくら?」、準備時期については「店舗開業までのスケジュール」もあわせてご覧ください。



